退職後の傷病手当金を受給できる方の中には雇用保険の基本手当の支給要件を満たしている方もいるかと思います。
このページでは退職後の傷病手当金と雇用保険の基本手当は同時に受給することができるのかについて説明したいと思います。

それでは順に確認していきましょう。

スポンサーリンク

退職後の傷病手当金の支給条件

まずは退職後の傷病手当金の支給条件から確認していきましょう。
以前説明したこちらも参照してください。
《傷病手当金をもらえるのはどんな時?支給条件を確認しよう》
《条件を満たせば退職後についても傷病手当金をもらえる》

  1. 療養中であること
  2. 仕事につくことができないこと
  3. 4日以上仕事を休むこと
  4. 会社から給料が支払われていないこと

退職後の場合これに加えて

  1. 資格喪失の前日まで健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
  2. 健康保険の被保険者の資格を喪失したときに傷病手当金の支給を受けているか、または受けられる条件を満たしていること

このような条件があります。
これらの条件を満たしている場合で病気が引き続いている場合に退職後にも傷病手当金をもらうことができます。
退職後も傷病手当金の支給条件を満たしていることはもちろん、退職後も病気により労務不能の状況が続いている事が条件になっています。

雇用保険の基本手当の支給条件

雇用保険の基本手当は俗に言う失業保険の事です。失業し、求職活動をしているにもかかわらず再就職することができない期間の生活費を補うための雇用保険の給付です。
支給のための細かい条件はここでは省略します(退職の理由や年齢等により支給割合やもらえる期間が変わってきます)。

雇用保険で言う「失業」について

退職後の傷病手当金と雇用保険の基本手当が同時に受給できるかを考えるにあたり、雇用保険で言う失業の定義について確認しなければなりません。

「失業」とは就職しようとする意志と、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、職業につくことができない状態をいいます。

退職後の傷病手当金と雇用保険の基本手当は同時にもらうことはできない

前の項目で説明した通り、雇用保険でいう「失業」とは「就職できる能力がある」のに就職できない状態です。
病気やケガで働くことができない状態は「就職できる能力がある」といえません。
そのため退職後の傷病手当金と雇用保険の基本手当は支給条件の上で相容れない支給条件を持つものといえます。

傷病手当金を受給する=病気で仕事をすることができない
基本手当を受給する=仕事をする意志も能力もある

このことから退職後の傷病手当金と雇用保険の基本手当は両方もらうことができないことがわかると思います。

余談ではありますが、傷病手当金の支給額は標準報酬日額の3分の2(約67%)、雇用保険の基本手当は平均賃金の50~80%です。両方同時に受給できるのなら健康で働いていた時の給料よりも多くもらえることになります。
仕事を休んでいる方が働いている時よりお金をもらえるのは生活保障としてはおかしいということも言えるでしょう。

まとめ退職後の傷病手当金と雇用保険の基本手当は同時にはもらえません。
退職後の傷病手当金は1日でも労務不能でない期間があるとその時点で支給が打ち切られてしまいますので、退職後に再就職しようとする場合には、あせらずしっかり病気を治してからハローワークで休職の申し込みをするようにしましょう。