突然ですが、現在の社会保険の保険料率はご存知でしょうか?

何となく高いというイメージは皆さん持っていらっしゃるかとは思いますが、実際に何%なのかわかる方は少ないと思います。早々に答えをお教えしますが、平成25年1月現在で健康保険の保険料率は全国健康保険協会では約10%厚生年金の保険料率は16.766%です。健康保険と厚生年金の保険料を足し合わせるとなんと約26.766%になります。たとえば月給30万円の従業員がいれば、1か月に80,298円の保険料を事業所と従業員が折半し負担することになります。やはり思ったとおり高いと感じたのではないでしょうか。

こんなに高い保険料を払っているのにどんな時に給付を受けられるのかは意外と知られていないと私は思っています。任意で加入する医療保険などについてはどんな時に給付を受けられるのか自分で加入の申し込みをしているためわかっていらっしゃるかとは思いますが、社会保険については会社に勤めると保険料が差し引かれているという認識はあっても、加入しているという意識は薄いように思います。そのため社会保険は保険料は高くて税金のようなものという認識になってしまっているような気がするのです。

私は以前、社会保険事務局や健康保険の保険者で勤務をしていました。冒頭に書いたのは私が長いことこの仕事に従事していた際にずっと考えていたことです。社会保険は国民が安心して暮らすためにはなくてはならない制度です。一生病気をしない人はいないと思いますし、病気をすれば生活は不安定になります。その不安を和らげるためにも社会保険は必要な制度だと思っています。

また社会保険は加入の条件を満たしている事業所は適用事業所になりますし、適用事業所で働く従業員は労働時間や労働日数等の条件を満たせば被保険者になります。被保険者の数が多ければその分保険料も高くなりますし、給料の高い従業員がいればその分保険料も高くなります。これは法律で定められている以上、従うしかありません。

しかし社会保険は保険料を払うだけではありません。保険料を払っている以上は保険事故(保険の給付を受けられる事実)があれば給付を受ける権利があります。せっかく保険料を払っているのに、給付を受けることができる状況になった際に制度を知らなくて受けられないのでは非常にもったいないと思います。しかも保険料が高いだけあって給付は非常に充実しています。

このサイトでは健康保険の傷病手当金の制度について細かく解説しています。私が傷病手当金について特に素晴らしいと思い、ぜひ皆さんに知っていただきたいと思うのにはいくつか理由があります。

  1. 入院だけではなく通院での治療についても、会社からもらう給料の約66%の生活費を保障してくれること。
  2. しかも通院期間は通院日だけではなく、通院日以外でも労務に服することができないと担当医師が判断した場合には、給付されること。
  3. 医師の証明も300円で済むこと。

他にも挙げればきりがないほどの利点があります。特に高額療養費とセットで利用すればより負担が少なくなるのですが、ここでは傷病手当金の申請方法や制度に絞って紹介して行きたいと思います。

このサイトを通じて一人でも多くの方々の病気に対する不安やそれに伴う生活費・医療費に対する不安が軽減できればと願っております。文章については一般の方や会社の社会保険事務の担当者の方にわかりやすいように書こうと考えています。社会保険に詳しい方や法律に詳しい方、社会保険労務士の方々が読まれると不足があったり多少のニュアンスの違いがあるかと思いますが、あくまでも一般の方向けに書いていることをご理解いただければと思います。

またこのサイトで解説する傷病手当金の申請や制度については全国健康保険協会を基準にしています。理由は全国健康保険協会は加入者が約3500万人おり、最も加入者が多い保険者だからです。保険者によって申請の方法等が違う場合がありますので、もし加入している健康保険が他の保険者である場合にはこのサイトは参考程度にお読みいただき、詳しい申請方法等は加入している保険者に直接確認していただきますようお願いします。