これから会社を休職するのであれば、傷病手当金でいくらくらい給付金がもらえるのか知っておきたいですよね?しかし傷病手当金の計算方法はわかりにくいため、多くの方は支給決定通知書を受け取ってから、支給額を知るのが現状です。
病気が長引きそうであればあるほど、傷病手当金の支給額をあてにして生活することになると思いますので、支給額を知っておく方が、今後の生活の見通しを立てやすいのは間違ありません。
このページでは傷病手当金の支給額の計算方法について説明していきます。
目次
傷病手当金の支給額を計算するときの流れ
傷病手当金の支給額を計算するためには、2段階の計算を経て、支給額を計算することになります。
- 傷病手当金の1日あたりの金額を計算する
- 支給される日数を計算する
この流れで計算します。
これだけ見ると簡単に見えるかもしれませんが、1日あたりの金額を計算するのに少し苦労すると思います。
しかしこれから順を追って説明しますので、ご安心ください。
傷病手当金の1日あたりの金額を計算する
傷病手当金の計算を行う上で最初に行わなければならないのが、1日あたりの金額を計算することです。
傷病手当金の支給額は月にいくらと決まっているものではなく、1日単位で支給額を計算します。
1日あたりの金額は、傷病手当金の支給開始日以前の健康保険の加入期間が12か月以上あるかどうかにより、計算方法が変わります。
傷病手当金の支給開始日以前の健康保険の加入期間が12か月以上ある場合
傷病手当金の支給開始日の以前の期間が12か月に満たない場合
入社して間もなく休職することになった場合には、支給開始日から12か月さかのぼることができない場合があると思います。その場合には、次のいずれかのうち、低い額を使用して計算します。
(ア)支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
(イ)30万円(※)
※支給開始日が平成31年3月31日以前の場合には、28万円になります。
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具体例
文章ではわかりにくいと思いますので、具体例を挙げて説明します。
具体例1:支給日開始日以前の健康保険加入期間が12か月以上ある場合
標準報酬月額:平成30年8月以前は26万円、平成30年9月以降は30万円
支給開始日を含む月から12か月分の標準報酬月額を合計しますので令和1年6月分の標準報酬月額からさかのぼって考えることになります。
この具体例では令和1年6月から12か月間さかのぼるため、「平成30年7月~令和1年6月」の標準報酬月額を合計し、12か月で割ります。
平成30年9月~令和1年6月・・・30万円×10か月
{(26万円×2か月)+(30万円×10か月)}÷12か月÷30日=9,777.777…(1円の位を四捨五入)
=9,780円
9,780円×2/3=6,520円(小数点第1位を四捨五入)
この具体例であれば、傷病手当金の支給日額は6,520円になります。
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具体例2:支給日開始以前の健康保険加入期間が12か月に満たない場合
標準報酬月額:令和1年8月以前は26万円、令和1年9月以降は30万円
入社日:令和1年6月1日
この例では傷病手当金支給開始日以前の健康保険加入期間が12か月に満たないため、入社日以降の標準報酬月額の平均と30万円を比較して、少ない方の金額で計算します。
この具体例では令和1年6月から令和1年12月の標準報酬月額を合計し、7か月で割ります。
令和1年9月~令和1年12月・・・30万円×4か月
{(26万円×3か月)+(30万円×4か月)}÷7か月=28.2万円
28.2万円<30万円なので、入社日以降の標準報酬月額の平均を使用して計算します。
{(26万円×3か月)+(30万円×4か月)}÷7か月÷30日=9,428.57…(1円の位を四捨五入)
=9,430円
9,430円×2/3=6,287円(小数点第1位を四捨五入)
支給される日数を計算する
支給される日数は、必ずしも傷病手当金支給申請書に記入した申請期間とイコールになるわけでないことに注意してください。
例えば次のような場合には申請期間とイコールになりません。
- 初回の申請の場合
→3日間の待期期間があります - 初診日よりも前の期間から申請をしている場合
→初診日よりも前の期間は支給対象の期間に含まれません。 - その他労務不能と認められない事象がある場合
上記は一例ですが、これらのことがあれば傷病手当金の申請期間とイコールになりません。
このことに注意をして、傷病手当金の支給日数を計算してください。
傷病手当金の支給額を計算は、健康保険の加入期間が12か月以上あるかどうかにより、計算方法が違います。
支給日数は申請期間とイコールではないので、計算する際には注意が必要です。