傷病手当金を既に受給している人が年金の受給条件を満たした場合には、年金も受け取ることができるようになります。
そのような場合には年金と傷病手当金を両方受け取る権利があることになりますが、両方とも同時に受給することはできるのでしょうか?
返金するのであればどちらの給付金を返金しなければならないのでしょうか?
先に年金の支給を受けている場合には傷病手当金の支給額を調整することにより、傷病手当金の支給額を減額したり、年金の金額の方が高ければ傷病手当金が不支給になったりします。
今回説明するのは先に傷病手当金の支給を受けている人が傷病手当金の受給期間中に年金を受けることになった場合についてです。
それでは確認して行きましょう。
目次
先に傷病手当金を受けている人が年金を受けられるようになる場合とは
もしも先に年金を受給しているのであれば、傷病手当金の支給額の調整をした金額で支給を受けているはずです。
先に年金の受給がされている場合の傷病手当金の支給額の調整について書いた記事です。
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しかし逆に傷病手当金の支給を受けた後で年金の受給が開始されることがあります。まずはその主な事例について確認しましょう。
事例1:障害厚生年金が遡って支給される場合
障害厚生年金はほとんどの場合には初診日から1年6か月経過した時点での障害の程度により等級が決定され、支給されます。
ただし1年6か月の期間を待たずに障害厚生年金の受給が決まる場合があります。
それは病気の症状が固定した場合です。その場合には病気の症状が固定したと判断された日の翌月から障害厚生年金の受給ができることになるため、遡って障害厚生年金が受給できるようになります。
事例2:老齢年金の請求が遅れた場合
年金は請求があってはじめて支給をうけられる制度です。
老齢年金についても支給の権利があっても請求がされていなければ受給できません。
傷病手当金の受給をしていて、年金の支給開始が可能な時期を経過してしまったような場合には遡って年金が受給できるようになります。
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傷病手当金を受給後に年金が支給された場合の調整について
傷病手当金を受給後に年金が支給された場合には、やはり支給額の調整がされることになります。
支給額の調整の方法
- 傷病手当金の支給日額>年金日額
- 傷病手当金の支給日額<年金日額
→傷病手当金は年金日額との差額分支給
→傷病手当金は支給されない(不支給)
この方法で計算された傷病手当金の支給額が本来の支給額になるので、もし既に傷病手当金が支払われているのであれば支給済みの金額と本来の傷病手当金の金額との差額分の返納金が生じることになります。
返納の方法について
次回の傷病手当金の支給額を減額したり、年金の給付額を差し止めたりすることはできません。
現金で返納することになります。
年金と傷病手当金の受給期間が重なっている期間が長いほど返納金額が多くなりますが、年金の金額を超えて傷病手当金の返納が発生することはありません。
年金と傷病手当金の受給期間が重なるということはそれだけ年金の支給開始が遡っているということを意味しますので、年金の1回目の支給額も大きくなるはずです。
その年金の1回目の支給額から傷病手当金の返納を行えば、返納も楽になると思いますので、傷病手当金の支給を受けている方が年金を受給することになった場合についてはすみやかに保険者に連絡しましょう。