健康保険で傷病手当金があるように、労災保険でも休業補償給付という給付金があります。
これは業務上の事故により従業員が働けなくなった場合に、労災保険から受けられる給付金です。
傷病手当金と同じように働くことができなくなった従業員の生活を補償するための制度ですが、休業補償給付と傷病手当金の両方の支給要件を満たした場合にはどちらの制度が優先されるのでしょうか?
順に説明していきます。
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健康保険法上の業務上・通勤途上のケガに関する取り扱い
健康保険法では労災保険との二重給付を防ぐため、次のように給付を制限しています。
- 業務上のケガの場合
→健康保険の対象外 - 通勤途上のケガの場合
→労災保険から給付を受けられるなら健康保険の対象外
傷病手当金の支給についてもこれに基づいて考えられます。
すなわち次のようになります。
- 業務上のケガにより労務不能となった場合
→労災保険から休業補償給付を受けることになり、傷病手当金は支給されない。 - 通勤途上のケガにより労務不能となった場合
→労災保険の通勤災害の適用を受けることができるのであれば、傷病手当金は支給されない。
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労災の休業補償給付を受給している従業員が業務外の傷病でも労務不能になった場合には傷病手当金も受けることができるのか?
休業補償給付と傷病手当金の両方の制度で給付の条件を満たしているのであれば、労災保険と健康保険の両方から給付されるように考えてしまうかもしれません。しかし実際には両方から同時に支給されることはありません。
生活費の補償をする国の制度を受給することにより、休業前よりも多くの生活費を受けられるようになるのは、生活補償の意味を考えると過剰な給付を行っていると考えられるからです。
よって休業補償給付と傷病手当金については支給制限がかかります。
このような場合については労災保険の制度である休業補償給付が優先されることになります。
休業補償給付を受給している場合には傷病手当金は支給されませんが、もし傷病手当金の支給額の方が休業補償給付の支給額より高い場合には傷病手当金と休業補償給付の差額分だけ支給されることになります。
まとめ傷病手当金と同じ病気やけがで、労災の休業補償給付を受けることはできません。
また傷病手当金と異なる病気やけがの場合であっても、労災受給中は傷病手当金を受けることはできません。
また傷病手当金と異なる病気やけがの場合であっても、労災受給中は傷病手当金を受けることはできません。