傷病手当金は病気の治療のため会社に出勤することができない時に支給されます。
この「病気」とは何を指すのでしょうか?たとえばうつ病のような精神疾患も傷病手当金の対象になるのでしょうか?
このページでは傷病手当金の支給条件にあてはまる「病気」について確認していきたいと思います。

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傷病手当金の対象になる「病気」とは

健康保険法第99条に傷病手当金の支給の根拠があります。

第九十九条  被保険者が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して三日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金として、一日につき、標準報酬日額の三分の二に相当する金額を支給する。

簡単に説明すると病気のために会社を休んだ時に支給されるということになるでしょうが、正確に言うと「療養のため労務に服することができないとき」に支給されることになります。
一言で「病気」といっても風邪も病気ですし、脳梗塞のような脳疾患、うつ病のような精神疾患もあります。そのような様々な病名がある中で傷病手当金の対象となるか判断するには判断基準が必要です。

「療養のため労務に服するに服することができない」とは

わかりやすく考えるために療養のため労務に服することができないの2つに分けて考えていきます。

「療養のため」とは

療養」とは治療のため養生することです。そのため医師による治療が行われていなければなりません。ただしこれは治療を受けた日だけが傷病手当金の受給の対象になるというわけではありません。入院している期間だけが傷病手当金の対象になると勘違いしている方もいるようですが、実際は通院期間についても療養期間であれば受給の対象になります。

「労務に服することができない」とは

労務に服することができない」という言葉は少し曖昧な気がしませんか?事務職の方と現場でからだを使って働く方では労務に服することができるかどうかは違ってくるはずです。
そのため傷病手当金ではこのように基準が設けられています。

必ずしも医学的基準によらず、その被保険者の従事する業務の種別を考え、その本来の業務に耐えうるか否かを標準として社会通念に基づき設定する(昭和31年1月保文発第340号)

要は被保険者の病気欠勤する前の本来行っていた業務を行うことができるかどうかで労務不能かどうかを判断するということです。
病気の治療により本来行っていた仕事を行うことができるか・・それが傷病手当金の支給可否の判断になります。

うつ病で会社を休んでいる場合にも傷病手当金をもらうことができるのか

ここでこのページの論点に戻ってみましょう。
うつ病で会社を休んでいる場合にも傷病手当金をもらうことができるのか・・それは前の項目で示した通り、傷病手当金を受給することができることになります。
条件は「療養のため労務に服するに服することができない」こと、です。
うつ病により病院で治療を受け、その病状が本来の業務に耐えうる状態でない場合には傷病手当金が受給できるものと考えられます。

他にも傷病手当金をもらうには満たさなければならない条件がありますので、こちらも参考にしてください。
『傷病手当金をもらえるのはどんな時?支給条件を確認しよう』

傷病手当金をもらうことができるかどうかは病名によるのではありません。「療養のため労務に服するに服することができない」かどうかによります。ですからうつ病により会社を欠勤しなければならなくなった場合にも傷病手当金をもらえる可能性があります。医師に労務不能の証明がもらえるかどうか確認して傷病手当金の申請をしましょう。