傷病手当金は病気やケガの治療により働くことができなくなり、会社から給料がもらえなくなった時に支給されます。
傷病手当金がもらえる条件は以前のページでも確認しました。
しかし条件を満たした場合には退職し健康保険の資格を喪失した場合にも傷病手当金を受けられる場合があります。
このページでは退職後の傷病手当金の支給条件について確認していきたいと思います。

傷病手当金の支給条件

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退職後の傷病手当金について

「退職後に傷病手当金傷病手当金をもらう」ということに違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
それは傷病手当金の支給条件に「会社から給料をもらえなくなったときに支給される」という条件があるからでしょう。

会社に勤めている=給料が支給される→病気欠勤により給料がもらえなくなる→傷病手当金が支給される

会社からもらっていた給料(=生活費)が病気により得られなくなるため、その生活費を保障するために健康保険から給付を受けられるのです。これが傷病手当金が支給される理由です。

それが退職後であればどうでしょうか。
会社に籍がないのであればその時点で給料(=生活費)を受ける権利がなくなっています。
それであれば傷病手当金をもらう権利はないのではないでしょうか?
いいえ、その場合でもいくつかの条件を満たせば傷病手当金の支給を受けられることになっています。

それは病気で長期間治療に専念しなければならない状態になった場合、会社を一旦退職して治療を行いたいと考える人もいると思います。
そうなった場合に結局会社を病気によりやめることになったわけですから、生活の保障が必要になったことに変わりありません。
それであれば傷病手当金を一定の条件の元に支給しなければ、従業員の生活を病気から守るという制度の目的が達成されないわけです。
これが退職後にも傷病手当金を受けられる理由です。

退職後の傷病手当金の支給条件

ではまず在職中の傷病手当金の支給条件について確認しておきましょう。

  1. 療養中であること
  2. 仕事につくことができないこと

については必須条件です。ただし退職後の傷病手当金についてはこれに2つの条件が加わることになります。

  1. 資格喪失の前日まで健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
  2. 健康保険の被保険者の資格を喪失したときに傷病手当金の支給を受けているか、または受けられる条件を満たしていること

この2つの条件について次から見ていきましょう。

資格喪失の前日まで健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること

退職後の傷病手当金の支給には健康保険の加入期間に関する条件が加わります。
1年以上ですのでちょうど1年でもこの条件を満たすことができます。

健康保険の被保険者の資格を喪失したときに傷病手当金の支給を受けているか、または受けられる条件を満たしていること

退職後の傷病手当金を受けることができるのは在職中から引き続いている病気に限るということです。
そして「傷病手当金の支給を受けている」とは待期が完成し、1日でも支給を受けている状態をいいます。
そのため退職後の傷病手当金の支給を受けるには最低でも4日間は傷病手当金の申請を行っている必要があります。

受けられる条件を満たしていることとは

ではこの「受けられる条件を満たしていること」とは何でしょうか?
これは待期が完成し病気欠勤したならば傷病手当金を受けられるはずだが、会社から給料の支給を受けているために不支給になっているような場合をいいます。
病気により退職し治療に専念する方の中には、在職中の有給休暇をすべて使い会社を退職するということも考えられます。
その場合に傷病手当金を受けている方だけを退職後の傷病手当金の対象にすると生活保障に不公平が生じるため「受けられる状態」も含めています。

「傷病手当金の支給を受けているか、または受けられる条件を満たしていること」を判断する日はいつなのか?

この条件の判断する日について確認します。
この条件を注意して読むと「健康保険の被保険者の資格を喪失したときに」と書かれています。
これはいいかえると「退職日当日に」という意味です。

そのためたとえ退職日の前日まで体調が悪く出勤できない状況であったとしても、退職日には症状が落ち着いたため出勤した、ということであれば退職後の傷病手当金の支給を受けることはできません。
あくまでも退職日当日に病気欠勤している事が条件です。

注意退職日当日はたとえ1時間であっても勤務している場合には、退職後に傷病手当金を受けることはできません。

退職後の傷病手当金の支給は就労が可能になった時点で打ち切られる

退職後の傷病手当金は就労が可能になった時点で打ち切られます。
傷病手当金の支給が一度でも打ち切られたり、アルバイト等で労務不能とは認められない日があればその時点で退職後の傷病手当金の支給は打ち切られるため、仕事に復帰する場合には復帰時期を慎重に考えましょう。

参考ページ

うつ病での休職も傷病手当金の対象になるのか?